リスはかわいいけれど、自然にとっては複雑な存在
リスと聞くと、多くの人が思い浮かべるのは「木の実を頬いっぱいにためる愛らしい姿」ではないでしょうか。
公園などでリスを見かけると、つい立ち止まって写真を撮ったり、エサをあげたくなったりする人も多いはずです。
しかし、その「かわいい存在」が、実は自然環境や生態系にとって問題を引き起こすこともあるのです。
まず、リスにはいくつかの種類があります。
日本でよく知られているのは「ニホンリス」ですが、ペットとして輸入された「タイワンリス」や「シマリス」が逃げ出し、野生化して増えている地域もあります。
これらは外来種として扱われ、在来の動物や森林に影響を与えるケースが報告されています。
たとえば、タイワンリスは木の樹皮をはぎ取る習性があり、木が弱ってしまう原因になります。
また、農作物を食べて被害を与えることもあり、地域の人々にとっては「かわいいどころではない存在」になってしまうのです。
こうした被害は、もともと自然界にはなかった種類が人間の手で持ち込まれ、野生化してしまったことによって生まれています。
そして、外来種ではなく本来日本にいるリスであっても、人間の関わり方によっては問題が起こります。
その代表例が「エサやり」です。
人に慣れすぎたリスは、自分で十分に食べ物を探さなくなり、健康状態を崩したり、人の食べ物に依存したりするようになります。
また、エサを求めて人に近づきすぎることで、噛みつき事故などが起きるリスクもあるのです。
つまり、リスが悪いのではなく、人間の「かわいいからつい近づきたい」という気持ちが、自然とのバランスを崩すきっかけになってしまうのです。
リスと人間が“ちょうどよい距離”で暮らすために
では、リスとの関わり方をどう考えればよいのでしょうか。
大切なのは「無理に近づかない」ということです。
公園や森でリスを見かけても、エサを与えるのではなく、遠くからそっと観察するのが理想的です。
リスは本来、森の中でドングリや木の実を食べ、自然のサイクルの中で生きています。
その習性を人間が壊さないようにすることが、リスを守ることにもつながるのです。
また、ペットとしてリスを飼うことにも注意が必要です。
飼育できなくなったからといって自然に放すと、それが「外来種問題」の原因になってしまいます。
かわいさだけで迎え入れるのではなく、最後まで責任を持って世話ができるかどうかを考えることが大切です。
さらに、リスが住む環境を守ることも重要です。
森の伐採や都市開発が進むと、リスのすみかが失われ、人間の生活圏に出てきてしまうことがあります。
そうなれば人との接触は避けられず、エサやりや農作物被害といった問題に発展してしまうのです。
森林保全や自然環境の維持は、リスだけでなく多くの生き物の暮らしを守るために欠かせません。
リスは確かに愛らしい存在です。
しかし、そのかわいさに惹かれて人間が過度に介入してしまえば、リス自身にとっても、生態系全体にとっても良い結果をもたらさないことがあります。
だからこそ、私たちは「かわいいからこそ、距離を取る」という視点を持つ必要があるのです。