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海面上昇による影響とは?

約100年で19cm海面が上昇

地球温暖化の問題が取り沙汰されるようになってから、かなりの年月が経ちました。
近年、地球温暖化の波を受けた猛暑が世界的な現象として報告され、ヨーロッパなどでも熱中症による多数の死者が出ています。
地球温暖化で気温が上がることにより、氷河や氷床にも融解が起こり、海水面は毎年確実に上昇しています。

1901年から2010年にかけての観測結果によれば、わずか100年の間に海面は19cmも上昇しています。
南極の氷床は、世界でも最も大きな体積を誇っており、体積は3000万立方キロメートル、地球の淡水の約90%が南極の氷床に含まれていると言われています。
南極の氷床が全て融解したとすると、海水のレベルは61.1m上昇すると計算されています。

南極氷床に次いで大きなグリーンランド氷床に関しては、全部融解すれば海水準が7.2m上昇するということです。
衛星のデータを分析してみると、1990年から現代に至るまでに、6.4兆トンの氷床が融解しています。
氷床が融解するスピードは年々加速しており、現在は1990年の頃の6倍のスピードで融解が進んでいるということです。

海面上昇の問題点

現在のペースで氷床の融解が進むと、21世紀末までには海面が1m上昇することが予測されます。
1m上昇するということは、海抜が1mのヴェネツィアなどは都市として機能しなくなってしまうという危険性があります。

日本でも、東京の江東区と墨田区、江戸川区、葛飾区のほとんどで海水が浸入する恐れがあります。
大阪に至っては、北西部から堺市にかけての海外線のほとんどが水没してしまうことになります。
何らかの対策を講じない限り、2100年には日本人口の約3割が住む場所を失うことになります。
地球温暖化と海面上昇は他人ごとではなく、誰にとっても深刻な問題なのです。

フィジー諸島共和国のように、海抜の低い島国では、すでに海面上昇によって井戸や畑に入り込んでしまっており、飲み水の確保が困難だという現象が起きています。
また、ツバルでも2002年7月からニュージーランドへの移民が行われています。

ツバルは「地上の楽園」とも呼ばれるほど美しい国ですが、海面上昇の煽りをもろに受けて、居住不可能な地域に変化しつつあります。
海面上昇などによって自分の国に住めなくなり、「移民」をする人たちは「環境難民」と呼ばれており、2050年までには約10億の環境難民が発生すると予測されています。

自然界の不思議なサイクル

氷床が融解すると、世界中の多くの主要都市が水没する危険がある一方、氷床から溶け出た水が二酸化炭素を吸収するという不思議な現象も起こっています。
地球温暖化の原因物質として挙げられている二酸化炭素が、氷床から溶け出た水によって吸収されるというのですから、自然界は非常に良くできていると言うしかありません。