汚染されるのは土だけではない
土壌汚染は土が有害物質に汚染されているわけですが、汚染の影響は土だけに及ぶのではありません。
例えば、その汚染された土壌に農作物が植えられた場合、植物は土から栄養を吸収しますので、有害物質も一緒に取り込まれてしまい、それを食べる人の体内に有害物質が入り込み、健康被害を受ける可能性があります。
また、土壌が汚染されると、それに伴って汚染されることが多いのが地下水です。
汚染された地下水を飲んでしまうと、農作物を食べた時と同じように、体内に有害物質を取り込むことになってしまうので、健康被害が起こります。
どのような健康被害が起こるのかは、有害物質によって異なりますが、毒性による中毒症状、肝臓や腎臓の機能障害、皮膚炎などが起こる他、発がん性が高まることが分かっています。
それだけではありません。
地下水は川に出てやがては海に合流します。
ということは、川や海も有害物質に汚染されてしまうわけです。
さらに、有害物質は川や海にいる魚にも取り込まれてしまいますので、それを食べることによって、人間の体も汚染されることになるのです。
さらに、土壌汚染を引き起こす有害物質には、揮発性のものもあります。
揮発性の有害物質は気体となって土壌に存在しているため、大気をも汚染してしまうことがあります。
大気が汚染されると、汚染は土壌汚染とは比べものにならないほど、速く、しかも広く拡散します。
大気汚染が起こると、呼吸をするだけで体内に有害物質が入り込んでしまい、呼吸器障害などの健康被害を起こす可能性が高くなります。
土壌汚染が及ぼす影響
土壌汚染の影響は、このようにして拡散していきます。
怖いことに、これだけでは終わりません。
有害物質によって汚染された土には、健康な植物が育ち難く、種が蒔かれても枯れてしまうことが多いので、必然的に緑が少なくなります。
緑は二酸化炭素を吸う習性があり、地球温暖化を防ぐのに大きな役割を持っています。
その緑が少くなるということは、地球温暖化が進んでしまうことになるのです。
そして、今までそこに生えていた植物が生えてこなくなったり、その土壌の性質が変わってしまうことで、今までそこで生きていた生き物も生きていけなくなります。
土壌汚染が広範囲に広がっている場合は、生態系にも影響し、絶滅する生き物も出てくる恐れもあります。
土壌汚染は拡散しにくい汚染だと言われていますが、このように回りに及ぼす影響は計り知れないものです。
たかが土壌汚染と思うかもしれませんが、地球の存続にも影響を及ぼすかもしれない重大な汚染なのです。
汚染された土壌は二度と元には戻りません。
現在、地球温暖化を何とかしようと、世界中で温暖化防止が呼びけられていますが、その一方で、土壌汚染が進行しているのは、人間は愚かだとしか言いようがありません。