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グリーンアノールが小笠原の生態系に与える影響

グリーンアノールについて

グリーンアノールとは、イグアナ科に属する爬虫類でもともとはアメリカの南東部や西インド諸島、メキシコなどに生息していました。
緑色の体に喉に大きな羽のようなデュラップと呼ばれる袋を持っています。
このデュラップを広げることで雄は求愛行動をするとされています。

樹木の上で生活することが多く、森林や木々のある民家や農耕地に棲んでいます。
体の大きさは雄で18cmから20cm程度で、体重は7g程度と小さめの体です。

目がとても良く、何メートルも離れたところにいる昆虫を見つけて捕食する能力を持っています。
また、ヤモリと同じように滑らかな面でも貼り付いて登れる足を持っているため、どこでも素早く走って捕食できるのも特徴です。
肉食性で昆虫をメインとしてエサを集めます。

グリーンアノールによる生態系破壊の原因とは?

グリーンアノールはもともと日本には生息していませんでしたが、ペット飼育を目的として輸入されました。
その後、飼い主の元からの脱走や飼いきれなくなった飼い主が放したりして、野外においても定着するようになりました。
もちろん、温暖なところで生息する生き物ですので寒い野外では生き残れません。
しかし、日本でも温暖な地域、特に小笠原諸島では定着するようになっています。

獰猛かつ能力の高い捕食をするグリーンアノールによって、多くの昆虫が食べられるという事態に至っています。
特にグリーンアノールは昼間活動しますので、昼行性の昆虫の数が激減します。
調査ではグリーンアノールが生息する島では、日本在来の昆虫がほとんどいなくなったことが分かっています。

具体的には、オガサワラトンボやシマアカネなどは絶命状態となっています。
大きなオガサワラゼミでさえ捕食されていて、かなり数を減らしています。
こうした生態系の破壊は、植生にも影響を与えると考えられています。
花に寄る昆虫が減り受粉ができなくなることで、植物が減少してしまうのです。

生態系保護のための現在の取り組み

こうした影響が明らかになるにつれ、法的な取り組みがまずなされていきます。
たとえば、外来生物法によってグリーンアノールは特定外来生物に指定されました。
そのため、以前のように簡単に輸入、販売ができなくなっています。

しかし、すでに生息している個体は樹上生活を送り素早く移動することから、駆除するのが難しい状況です。
特殊なフェンスを用いて捕まえたり、トラップを用いて捕獲する試みがなされています。
他の昆虫や生物の捕獲をしないように慎重に進める必要があり、効率的に行うのは難しいのが実情です。
そのため、定期的な調査研究をすると共に、これ以上の外来種の持ち込みや定着が起きないようにする啓もう活動や監視活動も実施されています。