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森林火災によって絶滅可能性が高まったコアラ

コアラの生態

オーストラリアには固有の動物がたくさんいますが、その最も有名な動物の一つがコアラです。
愛らしい見た目とゆっくりとした動き、そして他にはない独特の生態は世界中の人々の心をつかむものとなっています。
世界各国の動物園にも展示されていて、多くの人に愛されています。

コアラはオーストラリアの東部にあるユーカリの林に多く住んでいます。
体調は70cmから80cm程度で、体重は5kgから大きいものだと15kgにもなります。
毒性の強いユーカリの葉を独特の消化システムによって無毒化して食料としているのは、コアラならではのユニークな特徴です。

森林火災が生態系破壊の大きな原因となる

コアラは元々先住民が食料とするために捕獲されていましたが、少ない数だったために大きな脅威ではありませんでした。
しかし、18世紀になるとヨーロッパから人が入り、毛皮目的で乱獲がなされます。
それと共に、森林伐採が急速に進み、コアラの生息域が狭められました。
こうしたことがあり、コアラは絶滅危惧種として指定され保護の対象となります。

様々な取り組みによって個体数を増やしていたのですが、近年オーストラリアでは大規模な森林火災が各地で、しかも頻繁に発生するようになっています。
それによりユーカリの木が多く失われ、コアラの食料源が奪われてしまっています。
火災により直接コアラが焼死してしまうケースも増えていて、2020年の報告ではすでに5,000頭近くが被害に遭ったとされています。

森林火災は地球温暖化に伴う自然災害で、これからさらに増加するリスクもあります。
こうしたことから、2050年までにはコアラが絶滅するのではないかという予測が出されるほどです。
このように、温暖化に伴う森林火災は甚大な生態系の破壊をもたらし、オーストラリアの豊かな自然をむしばんでいるのです。

現在の取り組み

実にコアラの生息域の4分の1ほどが消失してしまったとされているため、現在、新しい生息地を作ったり保護したりする取り組みがなされています。
国立公園を作り、そこで保護するなどの計画を立てています。
また、森林火災が発生した場合、コアラのレスキュー活動を行い、発見次第保護したり火傷を負った個体を治療したりする努力も払われています。

それでも、森林火災そのものを減らすことができなければ、根本的な解決とはなりません。
これ以上オーストラリアの豊かな自然を失うことがないように、積極的に二酸化炭素の排出量削減を行っていく必要があります。
オーストラリアは豊かな資源と土地を活かして、次世代クリーンエネルギーの産出をするための取り組みを行っています。
水素の生成などもその一つで、日本の企業と共同して大規模な水素プラントを作り輸出する体制を整えています。