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実用化競争が始まっている核融合発電

注目を集める京都フュージョニアリング

京都大学エネルギー理工学研究所の教授が中心となって、核融合発電に取り組んでいる「京都フュージョニアリング」株式会社に注目が集まっています。
2019年10月に京都大学発スタートアップとして設立された京都フュージョニアリングは、京都府宇治市に本社を構え、京都大学で培われた最新端の技術を世界に発信しています。

日本発の核融合テクノロジーを有する同社は、ベンチャーキャピタル(VC)や個人投資家、 創業メンバーなどから1億1600万円の資金を調達することに成功しており、独自核融合炉の開発を進めています。
京都フュージョニアリングでは、発電と燃料サイクルのための各種工学コンポーネントの設計と製造を行っています。

核融合エネルギーを商用化するにあたっては、排気系とブランケットの2大主要装置が欠かせません。
最も高い水準が要求されるこれらのコンポーネントを提供することによって、核融合の商用化に貢献するのが同社の役割です。

核融合発電のメカニズム

核融合発電というのは、重い原子核を分裂させる原子力発電とは違い、軽い原子核を融合させることによって発電を実現させています。
核融合は容易に停止させることが可能なため、暴走のリスクがなく安全性が高いのが核融合発電の特徴です。
日本やヨーロッパ、ロシアなどで実現化のための研究開発が進められている核融合発電は、高レベル放射性廃棄物が発生しないというメリットがあります。

太陽が光輝きエネルギーを発生するのと同じ原理が、核融合発電のメカニズムだと思えばいいでしょう。
1グラムの重水素−三重水素燃料という非常に少量の燃料から、タンクローリー1台分・約8トンの石油に相当するエネルギーを得られます。

ただし、核融合反応を起こすためには超高温・超真空の非常に特殊な環境が必要となるため、実験に対して莫大な予算が必要となるというデメリットがあります。
放射性廃棄物が発生しないと言っても、炉壁に当たった中性子が有害な放射性物質に変化したり、三重水素が発生したりするというデメリットはあります。

京都フュージョニアリングの役割

京都フュージョニアリングが提供するのは、核融合反応で発生したヘリウムと不純物を排気する「ダイバータシステム」と「ブランケット」の2つのコンポーネントです。
ブランケットに関しては、現在「液体金属(リチウム鉛)」と「溶融塩(FLiBe塩を含む)」の2方式の流体ブランケットの研究が行われています。

さらに、現時点で日本とロシアでしか作られていないプラズマ加熱装置「ジャイロトロン」の製造と輸出の仲介も行っています。
「トカマク型核融合炉(磁気閉じ込め)」と「ターゲット型核融合炉(慣性閉じ込め)」に関しても、世界最先端の技術を有しており、どんな炉設計にも貢献できるのが京都フュージョニアリングの特徴です。