海洋温度差発電のメカニズム
海洋温度差発電とは、太陽によって温められた温かい表層海水の温度と、冷たい深層海水の温度の差を利用してタービン発電機を回し発電するというシステムです。
必要になるのは海水だけなので、遠方まで配管して原料を運んでくるという手間や費用がかからない点が海洋温度差発電の魅力です。
海洋温度差発電では、まず冷たい深層海水を作動流体ポンプに送り込み、そこから蒸発器へと送ります。
蒸発器では温かい表層海水があり、作動流体を蒸発させる働きをします。
この温度差によってガス気体の作動流体が圧力を生み出し、発電機を駆動して電気をつくるというメカニズムで発電を行います。
この海洋温度差発電は、もともとは1881年にフランスの物理学者によって初めて提唱されました。
しかし実用化されたのは近年になってからで、現在では日本を始めアメリカやインド、フランスなどで研究開発がすすめられています。
海洋温度差発電のメリットとデメリット
海洋温度差発電は、海水が豊かな地域や国にとっては導入しやすいというメリットがあります。
特にハワイやマーシャル諸島のように、温暖な気候で海面の温度が高く、すぐ近くに海溝など深さのある深海があるエリアでは高い発電効果が期待できます。
発電の計画を立てやすく、一定のペースで安定した電力供給ができる点もまた海洋温度差発電のメリットです。
その他にも、発電に利用した水はそのまま再利用できますし、水質が汚染されるわけではないため地球にとってもエコというメリットがあります。
海洋温度差発電のデメリットは、海のそばでなければいけないという点です。
国や地域の地理的な条件によっては導入したくても不可能でしょう。
また日本のように海に囲まれている国でも、発電所の設置は海の近くでなければいけません。
立地条件が制限される点は、デメリットと言えます。
また、この発電では海面温度が高めの地域でなければ、発電効果を得ることは難しいというデメリットもあります。
日本では九州と沖縄のみが有効エリアに該当しています。
北海道のような海水温度が低いエリアでは、残念ながら導入は難しいでしょう。
海洋温度差発電の課題とポテンシャル
海洋温度差発電では、発電の規模が大きければ多いほど単価が安くなります。
しかし発電所が海洋施設となるため、建設にはまとまった初期費用がかかってしまいます。
この費用面の課題をクリアできれば、無限のポテンシャルを秘めたエコな発電方法になることが期待されています。
また、太平洋に浮かぶ小さな諸国でも、海洋温度差発電を利用することによってエネルギーの輸出国になれる可能性があります。
国の経済発展という点でも、ポテンシャルを秘めた発電方法です。