世界のエネルギーの現状
エネルギー問題を考えるためには、現在の世界でのエネルギーの現状を知ることが大切です。
先進国では生活や経済を成り立たせるために必要なエネルギーを化石燃料に頼っています。
化石燃料とは、地球上で何億年もの時間をかけて作った貴重なエネルギー資源です。
しかし、人間はこの貴重な化石燃料を発見してから、ハイペースで使用し続けているため、このままのペースだとあと数十年以内に枯渇してしまうと考えられています。
しかも、現在は先進国だけではなく途上国でも化石燃料の利用が増加しているため、化石燃料の枯渇は避けられない状況にまで追い込まれています。
現時点では石油はあと46年、天然ガスはあと63年、石炭はあと119年で寿命が尽きてしまうとされています。
また、化石燃料を大量消費すると大気中の二酸化炭素濃度が増加するため、地球温暖化が進行します。
それ以外にも、異常気象や洪水、海水面の上昇といった深刻な問題が発生するため、早急に対処しなければいけません。
原子力エネルギーについては、チェルノブイリや福島第一原発の事故によって、多くの先進国は政策を転換させています。
脱原発を推し進めている国が多く、別のエネルギーを主流なものにしようと模索しています。
水力エネルギーについては、ダムを開発するために環境を破壊して、経済性にも疑問が持たれています。
そのため、多くの先進国ではダムを撤去したり、ダム建設支援から撤退しています。
従来のものよりも小規模な水力発電を中国や欧州では推進しています。
自然エネルギーについては、風力エネルギーは安定供給するために利用できる場所が限られており、ドイツやアメリカ、デンマークでは発電施設が増えています。
バイオマスエネルギーはドイツやスウェーデンで普及しています。
太陽エネルギーは効率が悪いとされていますが、アメリカやドイツでは推進されています。
地熱エネルギーは火山国でしか利用できません。
ニュージーランドやフィリピンでは広く利用されています。
自然エネルギーは化石燃料や原子力エネルギーのような大規模なエネルギー供給をすることは不可能です。
各国のエネルギー政策の成果
実際にエネルギー政策を実施して成功している例があります
スウェーデンでは、炭素税を導入したことにより、化石エネルギーの消費量が半減して、自然エネルギーの割合が4割となりました。
デンマークでは70年代にはエネルギー自給率が5%だったのが、現在は110%になりました。
これは自然エネルギーの利用を拡大した成果です。
ドイツでは電力消費を押さえることで、脱石油や脱原子力を実現させています。
日本はエネルギー自給率が4%と非常に低い数値となっており、石油の供給が削減されてしまうとパニックに陥ることが予想されています。
そのため、早急に対策を実施しないと大変なことになります。