北極圏で火災が相次いでいる
近年、北極圏で自然火災が頻繁に発生しています。
シベリア北極圏では年間400件以上の山火事が起こっており、2019年から2020年の2年間に起きた火災では、なんと4万平方キロメートル以上が火災によって焼失しました。
この焼失面積は過去1982年から2020年までに起きた山火事による面積の約半分近くを占めており、また火災発生件数では約7倍です。
これらは、近年いかに火災が増えているかを物語っています。
北極圏での火災を引き起こしている原因は、地球の温暖化にあります。
これまでは永久凍土だった地域が温暖化によって気温が上昇し、気候も変化したのです。
気温が上がることによって気象条件が変わり、夏が長くなったことによって土壌に含まれる水分量が減り、そこに植生が増えました。
植物が土壌の水分を利用することによって地表の乾燥が進み、火災が起こりやすくなったわけです。
北極圏の森林火災が地球温暖化を加速するのはなぜ?
北極圏で火災が起こりやすくなった理由は、地球温暖化です。
さらに悪いことに、地球温暖化によって引き起こされた火災は地球温暖化をさらに加速させてしまい、地球環境は悪循環に陥っているのです。
北極圏で大規模な火災が起こると、森林が燃えることによって大量の二酸化炭素が発生します。
2020年に起こったシベリア北極圏の火災では、スペインが1年間あたりに排出する二酸化炭素とほぼ同じ量が排出されました。
二酸化炭素は地球温暖化に直接的な影響を及ぼすことは、すでに多くの人が理解しているでしょう。
それだけではなく、北極圏での山火事では、土壌にも大きな影響が出ます。
この地域の土壌には炭素が多く含まれており、その量は1兆7000億トン以上と言われています。
火災によってこうした炭素も燃焼され、永久凍土の地層にダメージを与えてしまいます。
焼失した泥炭地には植物が生えづらくなりますし、火災によって炭素が多く輩出されることも地球温暖化の加速に大きく関係しています。
北極圏の気温を見ると、19世紀後半と比較すると年間の平均気温は2度以上も高くなっています。
このまま気温上昇が続くと、2100年には21世紀初頭の平均気温よりも3度から10度も高くなってしまうと考えられています。
しかも他の地域と比較すると北極圏の温暖化はスピードが速く、過去43年の統計を見ると地球上の他のエリアより温暖化のスピードは約4倍です。
地球温暖化の原因は、北極圏の火災だけではありません。
しかし、世界中で起こっている地球温暖化の原因によって北極圏の火災が引き起こされ、その火災によって世界中の地球温暖化がさらに進む負のサイクルは、世界中の人々や企業が温暖化ストップに向けて努力することしか止めることはできません。