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  3. 焼成レンガ文明の発展による森林伐採・乾燥化の歴史

焼成レンガ文明の発展による森林伐採・乾燥化の歴史

焼成レンガが乾燥化を促進する理由とは?

環境破壊は様々な要因が複雑に絡み合っているため、実効性のある対策を打ち出すには深いところまで探らなくてはなりません。
時に、表面上は環境に負荷をそれほどかけないのでは、と思われるものが、背景やその裏を知ると環境破壊をもたらしているケースもあるのです。

たとえば、建築構造の違いによる森林破壊の差を挙げることができます。
一見すると、木造住宅は木を切り倒して資材としますので、構造体には木材を使わないレンガ造りよりも森林伐採につながると思えるかもしれません。
しかし、実際にはそうではないのです。
というのも、レンガの原料は粘土ですが、完成品を作るためには窯で高温に焼成する必要があるからです。

窯での焼成では薪が使用され、大量の木材が必要となります。
同じ面積の家を建てるという条件で換算すると、木材そのもので家を作るよりも、焼成レンガを作るための薪としての木材使用の方が量が多いのです。
そのため、少なくても森林伐採という面で考えると、焼成レンガの方が環境負荷のかかる建設法となります。
レンガによる建設は歴史が古く、紀元前より続いていますので、歴史を通じて考えると大きな森林消失の原因となってきたことが分かります。

生活に関係した事業のために環境破壊が進むことも

このように、住宅を建設するために環境に負荷をかけてしまうことは歴史を通じて行われてきたことでした。
私たちの生活に関係した事業や行動は、他の面でも環境破壊につながることが多いです。
たとえば、現代社会では欠かせない電気を得るための事業は、大きな影響をもたらすものとなっています。

日本には各地に巨大なダムが建設され、安定した水力発電を行う場となっています。
また、ダムは水資源を確保したり、水害をコントロールして未然に防ぐ目的でも建設されました。
しかし、上流の土砂が下流に流れることで海岸を形成する働きが失われ、砂浜が後退する事態となっています。
また河口堰の建設と共に、川にアユやサケなどの魚が遡上することが難しくなり、生態系が崩れる原因ともなっています。

他にも、治水や津波などの災害を防ぐ目的で行われている護岸工事も、環境に大きなダメージを与えるものとなっています。
本来の岸の代わりにコンクリートで埋めることによって、岸辺の生態系が破壊されてしまったところは少なくなりません。
見た目にも自然本来の美しさが失われることになり、人工物が覆う場所となってしまっています。

こうした事業は私たちの生命や経済活動を守るために必要なものでもあります。
そもそも、人間が生活を営んでいく際には、一定程度環境に負荷をかけるのはし方のないことです。
しかし、地球に本来備わっている回復力を上回るほどの破壊を続けることがないようにすべきなのです。