地球緑化の基礎知識
世界最大の砂漠であるサハラ砂漠は、実に1.000万平方キロメートルもの広大な土地に広がっています。
そのため、この砂漠を緑化つまり草木を植え、持続的に成長できる環境にできたら大きな効果をもたらすと考える人は多くいます。
実際に、数千年前までは緑が広がる土地が多かったとされていて、動物や木々が見られたのです。
それを気候変動前の姿に戻してあげようと、様々な取り組みがなされています。
しかし、砂漠の緑化は非常に困難なプロジェクトです。
単純に考えても、砂漠に草木を生やすためには大量の水が必要であり、常にその大量の水を供給できる設備を作らなくてはいけません。
地球上に存在するすべての砂漠を緑化するのに必要な水の量は、6.7兆リットルに達するとされています。
これだけの水の量を確保し、流し続けるのは実質的にはかなり難しいものです。
当然、それだけのコストがかかります。
試算によると、そのためには336兆ドルほどかかるとされています。
これは世界中のGDPの4倍に相当するコストですので、現実的ではありません。
しかも、この程度のコストを5年程度で繰り返しかける必要があるとされていて、到底達成できるものではありません。
現実的と言えないとはいえ、水の問題やお金の問題がクリアできて砂漠が緑化されれば、様々なメリットがあります。
作物を植えられるようになりますので、特にアフリカ大陸などの食糧危機が起こっているところでは大きな助けとなります。
また、農業に携わる人が増えますので、仕事が増加して経済的なメリットもあります。
貧困層が多い地域と砂漠地帯は重なる部分もありますので、生活を豊かにして人の命を救うのに役立つのです。
また、砂漠周辺では砂嵐などの影響で交通網に影響が及んだり、生活に支障をきたしたりすることがあります。
砂漠の緑化によってこうした問題も解決されるのです。
地球上を緑化することによる生じるデメリットとは?
しかし、緑化に伴うデメリットが生じることも覚えておくべきです。
というのも、サハラ砂漠から飛散する砂は大西洋を渡ってアマゾンに降り注ぎます。
この過程で砂が海からの水分を吸って、雨になるとされています。
この砂漠の砂の飛散がアマゾンを保つための雨を作り出しているわけですから、もし砂漠がなくなれば、アマゾンの環境が変わってしまうことが考えられます。
アマゾンは地球上の二酸化炭素の吸収に大きな役割を演じていて、もし熱帯雨林が消滅すれば、今でさえ深刻な温室効果がさらに進んでしまいます。
このように、地球上の動きは微妙なバランスの上に成り立っていますので、総合的に物事考えないと思わぬところで深刻な影響が出る可能性もあるのです。