1. >
  2. >
  3. 海底の砂漠化が進んでいる

海底の砂漠化が進んでいる

海底の砂漠化って何?

砂漠というと、雨が少なくて土壌が乾燥し、植物すらほとんど育たない場所というイメージを持つ人は多いでしょう。
もともと砂漠ではなかった場所でも、森林の伐採や放牧による植生の枯渇が原因で土地が乾燥し、少しずつ砂漠化する場所もあります。

この砂漠化という現象は、実は海底でも起こっています。
海岸に近い海底にはワカメや昆布などの海藻が生えており、これは藻場と呼ばれています。
こうした海藻は季節によって成長したり小さくなったりするわけですが、何らかの原因によって生えてこなくなってしまうことがあります。
これが、海底の砂漠化です。

海底が砂漠化することは、単にワカメや昆布などの海藻が取れなくなってしまうだけではありません。
多くの場合こうした藻場は魚がエサを捕獲したり、産卵場所としても活用されてきました。
藻場が枯れてしまうことによって多くの魚たちも打撃を受け、魚の数が減ったり絶滅の危機を迎えてしまう事にもつながります。

海底の砂漠化は何が原因?

海底の砂漠化はいくつかの原因が考えられますが、まず1つ目の原因は海水温の上昇が挙げられます。
地球温暖化によって、空気中の温度だけでなく水温も上昇します。
特に深度が浅く紫外線によって温められやすい藻場は、海水温が上昇しやすいという特徴があるのです。
海水温が上昇しすぎて海藻にとって生育に適さない環境になってしまうと、海底は砂漠化します。

2つ目の原因は、海藻を食べる生物です。
特に魚やウニなどは海藻を餌とするため、こうした生物が藻場に増えすぎてしまうと、少しずつ藻場の砂漠化が進んでしまうでしょう。

3つ目の原因は、海藻の生育に必要な栄養素が海中に不足するという環境の変化です。
海藻が生きるためには、海水の中に溶けだしているリンや窒素などが必要不可欠です。
しかし地球温暖化や海水汚染など様々な原因によってこれらの成分が海水中に不足すると、海水は育ちにくい環境となり、砂漠化が引き起こされてしまいます。

4つ目の原因は、川から海へ流れ込む水の質の変化です。
藻場の海藻が正常な成育をするためには、川から海へ流れ込む水に鉄分が含まれていなければいけません。
鉄は海藻の生育に必要不可欠な成分だからです。
しかし、川の水質が変化することによって海へ流れ込む鉄濃度が減り、それが砂漠化の原因となってしまいます。

日本の近海では現在、この海底の砂漠化が深刻な問題となっています。
その対策として、さまざま機関で藻場を再生するための研究や試験が行われています。
海水の質を改善することによって海藻が生育しやすい環境づくりをすることも大きな効果が期待できますが、地球温暖化をストップすることもまた、海底の砂漠化を止めるために必要と言えるでしょう。