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親しみのあるアメリカザリガニが水生生物を食べてしまう

アメリカザリガニについて

アメリカザリガニは、本州以南の全国の水路や沼、水田などに見られ、子どもたちが捕るなどしてなじみの深い生物です。
アメリカザリガニは8cmから12cmくらいの大きさで、環境が整うと20cmくらいのサイズになることもあります。
流れの緩やかな淡水に住んでいますが、かなり環境対応力が優れているため広く生息域を広げています。
大きなはさみで植物を切ったり、捕食活動に使ったりするのが特徴です。

水辺に棲む昆虫や植物、小さな魚などを捕らえて食べる雑食性の動物です。
寒さにも比較的強いため、東北の冬の時期も乗り越えることができ強い繁殖力を見せます。

アメリカザリガニによる生態系破壊

アメリカザリガニはもともと、アメリカのミシシッピ川流域から輸入された外来生物です。
食用ガエルの餌とするための輸入が始まりですが、アメリカザリガニ自体も食用となるため複数の目的があって日本に入ってきました。
飼育場所から何らかの事情で複数のアメリカザリガニが逃げ出して、そこから近くの水路に定着し、次第に繁殖地を広げていきます。
上記のように、何でも食べる雑食性や強い対応力によってアッと間に日本の広い範囲に生息エリアを拡大しました。

今では、どこの水辺でも見られるほどです。
大きなはさみは掴んで切る力が強いので、水田に入り込んで稲を切ってしまったり、畔に穴を開けてしまったりという問題を引き起こしています。
さらに、水草を切ったり食べたりますので、水草に卵を産み付ける魚に害となります。

また、植物性プランクトンの発生をもたらし、水質悪化の原因となります。
ビオトープや池などに生息している小魚を捕食して、その数を減らしてしまうことも問題となっています。
日本の水辺の代表的な小魚はメダカですが、アメリカザリガニの繁殖によって減少してしまったところもあります。
こうした複数の要因によって、アメリカザリガニが繁殖するところでは生態系の破壊が生じています。

生態系保護のための現在の取り組み

多くの公立公園やビオトープにおいて、アメリカザリガニの捕獲作業が実施されています。
繁殖力が強いので、定期的に行う必要があり、地域の子どもたちの遊びも兼ねて季節ごとにザリガニ釣りを計画している自治体も見られます。

また、アナゴを捕まえるためのかごを使って捕集する取り組みも行われています。
アメリカザリガニより小さな魚などを捕らえることがないので、効率よく駆除ができます。
さらに、ザリガニ釣りをしたら元に戻さないようにすることや、その他の外来生物も含めて生き物を沼や池などに放さないようにとの啓もう活動を実施しています。
やはり、市民の意識とより多くの人を巻き込んでの保護活動が重要なのです。