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地球温暖化による絶滅が危惧されているライチョウ

ライチョウについて

ニホンライチョウは、国の特別天然記念物として指定されていて、北アルプスや南アルプスの高地に生息しています。
人工ふ化と飼育の試みがなされ、ある程度個体の保護がなされていますが、野生のライチョウは絶滅の危機に瀕しています。

ライチョウの生息エリアは、基本的に高山帯から亜高山帯と呼ばれるところで、3メートル以上の高さを持つ木々が生きられる森林限界を超えます。
ギリギリ森林が茂っているところから、ハイマツなどの背丈の低い植物だけが生えているところ、さらにほぼ岩地のみのところにも生息しています。
さらに、アルプスは積雪量が多く、非常に厳しい環境となります。

その中でライチョウは、巣を作ったりエサを見つけたりするために場所を変えながら過ごしています。
極寒の地でも生きられるように羽毛を換えていて、夏にはオスは黒、メスは茶褐色の羽となります。
冬は真っ白の羽毛に覆われて雪と同化します。
ライチョウのエサは植物の目や花、実、葉などです。

ライチョウを取り巻く生態系破壊の原因とは?

このように、ライチョウは厳しい環境で限られたエサしかない場所で生きています。
そのため、多少の変化でも命に直結するような大きな影響をもたらすのです。
特に、地球規模の温暖化はアルプスの生態系を変えつつあります。
森林限界が気温上昇によって上がっていきますので、ハイマツを始めとする高山植物の群落を縮小させる恐れがあります。

ライチョウは巣作りをしたり、十分な量のエサを確保したりできなくなりますので、個体の減少につながってしまいます。
こうした事象は既に見られていて、ハイマツの高さの変化や枝枯れなどが報告されています。

多くの人間がアルプスに入るようになってから、ライチョウは一気にその数を減らしてきましたが、温暖化によってさらにその絶滅の危機が高まっていると言えます。
高山における植生が変化することによって、この高度まで上がることができなかった動物が高山に入り込むことも考えられます。
それによって一気にライチョウの住みかが失われてしまう可能性もあるのです。

ライチョウ保護のための現在の取り組み

アルプスではライチョウの保護のために様々な取り組みがなされています。
ライチョウの生息エリアの立ち入りを管理して、そのエリアには柵を設けるなどして人間が入れないようにしています。
スキーが行われるエリアでは、ハイマツが繁殖している地域には立ち入らないようにロープを張るなどの活動も行っています。

また、植生の復活のために高山植物を植えたり、既にある高山植物の保護をしたりしています。
山の環境汚染を防ぐために、環境配慮型のトイレを設置して登山客が利用できるようにしているのも、一つの取り組みと言えるでしょう。