アライグマが増えている
近年、アライグマによる被害が増えています。
これは単純に、アライグマの個体数が増加していることが原因と言われています。
アライグマというのはもともと北米が原産の動物で、日本に野生のアライグマは生息していませんでした。
ところがとある人気アニメをきっかけに、輸入されたアライグマをペットショップで購入するも途中で飼いきれなくなって放置する人が増えたため、野生のアライグマが急激に増えてしまいました。
アライグマはエサを水に付けて洗うようにする仕草がユーモラスで愛らしく、ペットとしても人気が高い動物です。
しかし、寿命が15年前後(飼育下では22.5年)と長く、繁殖率も高いためつがいで飼うとどんどん増えていくことを知らず、手に負えなくなる人も少なくありません。
そのため、アライグマを飼えなくなって公園などに放置する人が増加したというのが現状です。
捨てたわけではなく、大切に飼っていても逃げ出してしまったというケースも少なくありません。
野生化したアライグマが繁殖した地域も多く、これが近隣の農作物を食べてしまうという被害問題に繋がっているわけです。
特定外来生物に指定されているアライグマ
アライグマは特定外来生物に指定されている他、日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100にも指定されている動物です。
夜行性で、特にトウモロコシやメロン、スイカを好んで食べるため、年間の農業被害は2億8,000万円と無視できない金額になっています。
また、農業被害だけではなくて在来種にも大きな影響を及ぼしています。
さらにアライグマのもたらす感染症も見逃せない問題です。
アライグマは狂犬病やレプトスピラ症以外にアライグマ回虫のキャリア動物として知られており、特にアライグマ回虫はヒトに感染した場合死亡するリスクがあります。
野生化したアライグマの問題は日本だけではなくアメリカでも深刻で、電気柵などで侵入を防ぐなどの対策が講じられています。
無責任にペットを飼わない
野生化したアライグマは基本的に捕獲して駆除する対策が取られています。
2008年に捕獲されたアライグマの数は日本全国でなんと1万4,000頭と膨大な数に上りました。
このように大量のアライグマを捕獲して駆除するためにかかる人件費や労働費ももちろん無料ではありません。
アライグマに限らず、外来種の動物をペットとして飼う場合には自分がきちんと最期まで面倒を見切れるかどうかを真剣に考えることが大切です。
ペットを飼うということは「生き物を育てる」という重大な意味を持っていることをよく理解できるかどうかが大切です。
子どものいる家庭でも、ペットを飼う際には生命の大切さ、重さに責任が持てるかを一緒に学んでいくことが大切です。