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スズメを害鳥認定して大量の餓死者を出した中国

150万羽のスズメを駆除

自然な生態系というのは微妙なバランスで保たれており、人間が不用意にバランスを崩してしまうと、自然界に大きなダメージを与えてしまうことが少なくありません。
その最たる例の一つが、スズメを害虫と認定して駆除し、大量の餓死者を出した中国です。
スズメの駆除が実行されたのは、1958年に毛沢東が立案・実行した「大躍進」の一環で、スズメとハエ、蚊、ネズミがの作物を食べてしまう害獣と認定され、150万羽のスズメが駆除されました。

駆除した結果害虫が大繁殖

スズメをこれほど大量に駆除したことによって生態系に大きな変化が起こり、害虫が大繁殖して作物が食い荒らされ、2年間の内に4000万人が死亡する大飢饉が起こりました。
一見、害鳥に思われるスズメでも、実際には害虫の駆除に役立っているのにも関わらず、大量に処分したために起こった悲劇と言えるでしょう。

スズメ・ハエ・蚊・ネズミは「四害」と定義され、1958年から1962年にかけて実施された毛沢東の大躍進政策の中でも、初期に四害駆除運動が実施されました。
スズメは果実などを食い荒らし、伝染病を媒介し、さらに鳥は資本主義を象徴するという理由で、スズメの中でも特にユーラシアスズメを撲滅することが提案されました。

スズメ撲滅運動は市民レベルで行われ、スズメの巣を破壊する、卵を割る、ひなを殺す他に、フライパンやバケツを叩いて音を出し、スズメが木に止まって休めないようにしました。
スズメ撲滅運動が進むにつれて、スズメを天敵としていた害虫のワタリバッタが作物を荒らし始めたことに気がついた毛沢東は、スズメを「益鳥」とし、矛先をトコジラミに向けました。

ワタリバッタは「トビバッタ」とも呼ばれており、時として大量発生して作物を食い尽くす害虫です。
現在でもロシアやアフガニスタンなどでは平均して年に870万ヘクタールの被害が出ます。

日本ではスズメは法律で保護されている

日本においては、「鳥獣保護法 第8条」によってスズメはもとより、他の鳥類に関しても卵を捕獲したり壊したりすることは禁じられています。
鳥獣をむやみに捕獲したり飼育したりすると生態系のバランスが崩れる恐れがあるというのが理由で、違反すると1年以下の懲役または百万円以下の罰金が課せられてしまうことになります。
とはいえ、家の軒下などにスズメが住み着くと、糞害や鳴き声がうるさいと言った被害を受けることも確かです。

法律に違反しないで上手にスズメを駆除するためには、卵やヒナがいない時を見計らって巣を除去する必要があります。
スズメの巣を除去する際には、本にウイルスが付着している可能性も考えて、手袋やメガネ、あるいはゴーグル、マスクなどで体を防護するようにしましょう。